地球環境とマリンバイオテクノロジー

平成22年5月31日、「東京大学・弥生講堂/一条ホール」に於いて開催 された「マリンバイオテクノロジー学会主催/国際シンポジウム〜微細藻類の バイオテクノロジー」の会場で、高齢のため来日が叶わなかったベンソン博士 ご本人による《ビデオ・メッセージ》として上映され、会場に於いても多くの方々 に深い感銘を与えた「ビデオ映像」と同一内容のDVDを、ご希望の方に頒布 致します。

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光合成に於ける「CO2固定の基本回路」の解明で有名な、「ベンソン・カル ビン・サイクル」の発見者である「アンドリュー・アルム・ベンソン博士」が、日本 の研究者に向けて語りかける、今なおポジティブで真摯なメッセージが、ビデオ の画面を通して、見る者に熱く伝わって来ます。

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このビデオ映像は、学会の牽引車として永年貢献されて来た宮地重遠博士 が、嘗て米国スクリプス海洋研究所に留学中の恩師であった、今年92歳に なる高齢のベンソン博士の、高い学識と深い経験に基づく、科学者としての 貴重な言葉と恬淡無欲な人間味溢れる人柄を、ビデオ映像として末永く残 すことで、我が国の若い研究者たちと学会の将来に少しでも役立てられれば ・・・との、宮地博士ご本人の長年にわたる宿願から実現したものであります。

地球環境とマリンバイオテクノロジー

宮地重遠(海洋バイオテクノロジー研究所)
(1993年8月/第2回マリンバイオテクノロジー研究会
機関誌より引用)

 上昇し続ける大気中のCO2濃度、オゾンホールの生成など地球環境の変化と海洋の関係が近年注目され、更には、海洋生物によるこれらの修復が期待されている。また、海洋流出油、富栄養化など劣化しつつある海洋環境の改善にマリンバイオテクノロジーがどの様に対応しうるかが、注目されつつある。この様な情勢を反映して、本研究発表会では、“微細藻類によるCO2固定”、“石油分解”、“付着機構の生理機構とその防除”、“極限環境微生物”など地球環境及び、その修復に関するシンポジウムが数多く企画された。これらのシンポジウムの多くは、同時に開かれたため、参加者は、これらのごく一部しか聞くことが出来ない状況にあった。この様な状態と、地球環境の修復に対するマリンバイオテクノロジーへの期待を考慮して、本シンポジウムが企画された。

 演者には、各シンポジウムの座長または、主スピーカーの方にお願いすることとし、東大分生研都筑氏がCO2問題、海洋科学センターの加藤氏が深海微生物、海洋バイオ研の原山氏と紺屋氏がそれぞれ海洋流出油対策と付着防御について話され、この外に、海洋バイオ研の荒井氏に紫外線問題について話題提供していただき、最後に東大先端研軽部氏によるマリンバイオテクノロジーは、地球環境へどの様に貢献出来るかという話題でしめくくっていただいた。この外、中国工試の布施氏らと東大農学部の大森氏による海洋微生物による硫化メチルの酸化に関する発表もあった。

現在でも研究に用いられているCO2固定微細藻類培養リアクター

 何れも地球環境とマリンバイオテクノロジーに関する重要な研究領域であり、発表会の討論も活発に行われた。その中でも小生には、CO2問題に関する都筑氏の地味ではあるが、深い考察、 原山氏のカテコール酸素添加酵素に関するダイナミックな研究に最も興味をそそられた。また、加藤氏による深海6500による微生物探索に関するスライドとお話は、多くの聴衆に多大のインパクトを与えた。

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